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「灼熱」葉真中顕の小説のネタバレと感想

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「灼熱」葉真中顕の小説を読んでみた。

テーマが雄大過ぎて、難しい議題も多すぎて、スマホを片手に調べながらようやく葉真中顕の灼熱を読み終えた・・・!

私にも重圧がのしかかりブラジルに旅行したかのようなずっしり感。

改めて葉真中顕が凄い・・・と思った。

凍てつく太陽」のアイヌからブラジル移民の話を続けて読んだ私は世界旅行をした気分です。

凍てつく太陽の3行あらすじとネタバレ

※超ネタバレなのでネタバレ注意

1934年、ブラジルの植民地へ大きな夢を抱いて移民した男と日系二世の男。第二次世界大戦の後日本が戦争に勝った・負けたと信じたい方に付き、極端な争いを続ける。所詮は「これしかない!」と決めつけられついていくのが好きなミニマムな日本男子、結局はどこで暮そうがなるようにしかならないのであった。

3行あらすじで書くとこれだけの話なんだけど、すっごい内容濃いです。

ブラジル移民に対して存在こそ知っていたものの、あやふやなイメージしかなかったからものすごく勉強になりました。

書ききった葉真中顕が凄い!

灼熱のあらすじとネタバレ

沖縄で産まれ、ぐうたらな父のせいで大阪に一家総出で出稼ぎに行くがそこでも「土人」とイジメられる勇。

当時は長男教が浸透しすぎていて次男だったこともあり、ブラジルに渡って一旗揚げるという親戚と養子縁組をし、一緒にブラジルに渡る。

「日本の反対側ブラジル」

と、私でも知っている位の知識しかなかったがなぜか勇は喜んでいた。

船に揺られてひと月、ブラジルに着き、植民地で日系二世のトキオと出会う。

トキオは日本に行った事が無く、勇は故郷を故郷と思えない。

仲良く柔道をし、畑仕事をし、また将来を夢見て頑張ります。

そこへ偏った思考の日本人たちが、やれ日本男子の精神とは~~~と説教をしに来る毎日でした。

毎日毎日毎日言われていると、なんとなく「そうだ!」と同調するしか無くなるのは同調圧力。

日本人の精神らしい精神論を叩きこまれて、みんなすっかりと日本男子ということを意識してしまう。

そしてアメリカを敵だと思い、敵の助けをするトキオを貶めて植民地の村から追い出してしまう。

所詮どこに住んでいてもミニマムな日本男子、結局村から出たことが無いので「それしかない!」精神論が発動してしまう。

日本人は結局このミニマムさが足を引っ張って、考えを変えようとしない頭の固い民族なのだ。

が、そこへ来て日本が戦争に負けてしまう。

これしかない!と決めつけられていた小さな日本人トキオは、自由という大きな扉を開け、しばらくは不快感が続いていたものの押さえつけられるようないら立ちも無く、未来へと心が開いていた。

そうこれが『普通』なのだと気が付いていたのでした。

町に住んで多様性や自由を手に入れていたトキオは案外すんなりと受け入れることができたが、村から出ていない勇は「日本が戦争に勝った」と思い込み、戦争に負けたと思い込んでいる日本人を攻撃するグループに入ってしまう。

勇は友達の妹と結婚し、村での憧れであった志津に弄ばれ調子に乗っていたのでした。

トキオと勇は文通を通じ、色々ありながらも仲良くしていましたが、それに目を付けた戦争に勝ったと言い切るグループに押し切られてトキオを利用して戦争に負けた説得する偉い人の殺人をする事になりました。

ぶっちゃけトキオと仲良くして、トキオ側の偉い人の隠れ家を教えてもらい寝込みを襲おうということです。

が、しかし、その時になって裏切者が発覚し、トキオも撃たれてしまいます。

トキオは勇の背中で安らかに死にましたが、勇は悔いて生きて行く派目に。

勇はトキオにできなかったこと、結婚や日本の地を踏むことを全うし、人生も全うしました。

勇の嫁、里子はどさくさに紛れて詐欺を働いて消えていた志津を探し出し、志津の事を「赦す」といいます。

浮気もトキオの殺害も、ブラジル移民として生きて来た激しい感情すらも。

志津もやりたい放題生きて来た人生、けれども夢中で生きた人生の中で赦されることに涙します。

おしまい!

灼熱の感想

今まで読んだ葉真中顕のイメージを覆すほどの重量感!

激動の中を生きて来た男と女の一生をじっくりと味わう事ができる名作です!

途中、聖書を3行くらいで言い表せている所があるんだけど、ハッキリ言って最高だね。

聖書も長いけど、3行で終わる。

それを読んでじっくり感覚として味わうかどうかは、その人によって違うよね。

葉真中顕の灼熱はそんな凄さがある。

ぜひ、読んで欲しいです。

参考文献にあげられていたブラジル移民文庫も合わせてどうぞ!

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