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日野不倫殺人事件を元に書かれた角田光代の八日目の蝉。
愛人が本妻の子供を誘拐して育てるという話だが、男はうんこしか出てこない。男のせいで起こった事件をただ男は見ているだけだ。
いつも女は男の後始末をするだけに生きているのではない!と怒りがこみあげてくるが、このお話はまたもや「母性」である。
母性って哲学並に深いな・・・。すべてを受け入れた上で自分がしたいことをするという一周回って母性なのか。そんな理不尽は受け入れなくてもいいと思うけど・・・。
八日目の蟬の三行あらすじとネタバレ
注意※三行で結末まで書いてます。
はじめはちょっと愛人が誘拐するなんていう酷い設定が受け入れられなかったけど、読んでるうちに引き込まれて号泣してしまう。こんな話反則だわ。
小説と違うのはいくつかあるけどオチが違う。
私は小説のオチの方が好きだ。
八日目の蟬の小説と映画のあらすじとネタバレ
目次
希和子目線
映画も小説も過去と現在が交差して進行していきますが、あえて希和子目線から書いていきます。
希和子(永作博美)は一目見るだけと思い、開いていた窓から家に忍び込みます。
そこには泣いていた赤ちゃんとストーブ。
希和子は赤ちゃんを見て思わず抱きしめてしまいます。抱きしめたら最後、たまらずそのまま希和子は赤ちゃんを誘拐してしまいます。
初めて触る赤ちゃんで慌てていて(不法侵入も合わせて)うっかりストーブを倒したまま逃亡します。
そして慣れないまま、赤ちゃんを育てていくのでした。
その頃、本妻の家は火事で赤ん坊の死体が出てこないという事で発狂。
そこで本妻の家は「希和子のしわざだ!」と思い立ち、誘拐と断定して指名手配されます。
希和子は父の残してくれた遺産があった。仕事をそのまま辞めてもしばらくは生活できるくらいには。小説でははじめに立ち退きを強いられているおばあさんの家に潜伏します。が、落ち着かずすぐに出て行きますがおばあさんへの感謝もちょっと染みます。
風貌を変え、外でぼーっと薫と名付けた子を抱きかかえていました。行き場のない希和子。
ふとしたことでエンジェルホームという女ばかりの自給自足の宗教施設の久美に話しかけられ、エンジェルホームに入ることになるが、そこで希和子は持ち金を全部出すことになりました。
それでも安住の地(外の世界とは切り離されている)を求めている希和子は思わず飛び込みます。
その頃、小説では本妻に「第二子」が生まれます。
同じように旦那に苦労した女が子供を連れて、駆け込み寺のように沢山いました。
駆け込み寺には妻と子供を誘拐した!と文句を言ってくる集団の旦那たちがいて、常に外から「返せ!」と騒いでいました。
それでもエンジェルホームは匿ってくれました。
エンジェルホームで知り合った同じような久美は子どもを取り上げられて一人で入居していました。久美は実家は何年も帰ってないけど瀬戸内の小さな島で素麺屋をしていると言います。
薫が喋れるようになったころ、ついにエンジェルホームが崩壊します。
あの騒いでいた連中が警察とマスコミを巻き込み、警察が入ってきます。
ホームの所長は希和子を呼び出し、(金は返せないけど)何か理由があるなら逃げなさいと言います。多分希和子が誘拐犯だと知ってたんでしょう。
希和子は薫を連れて逃げ出そうとするとき、エンジェルホームが無添加のパンを売っていた集金袋を渡し、久美の実家に逃げろと住所を書いて渡します。
希和子は大急ぎで瀬戸内の島の書かれた住所に向かいます。できるだけ目立たないように。
そして久美の実家に着くと、久美の母親がいたく久美の心配をしていました。久美は夫の所に子どもを置いて行方不明になっていたからでした。
そして希和子が仕事がしたいと言うと、あいにく募集はしてないというものの久美の母は家と素麺屋の手伝いを申し出てくれます。久美の母は久美の夫の言い分しか聞いておらず、娘が悪いと思い込んでいます(田舎特有だな・・・出るとこ出てキッチリ明確にしようぜ!)
そして久美の子供の服を男の子のだけど・・・と頂きます。希和子にとっては第二の安住の地でした。
そして瀬戸内の小豆島で二人は開放的に過ごします。毎日楽しい日々を送り、瀬戸内の海を見て喜びます。のちに希和子は薫にきれいなものを沢山見せてあげたいと語ります。
小豆島のイベントや祭りにも参加させてもらいますが、そこでカメラマンが希和子と薫の写真を撮って賞を取ってしまい拡大されて新聞に載ってしまいます。
「もうここには居られない・・・!」
と思った希和子は急いで薫との思い出を作ろうと、島の写真屋さんに行き写真を撮ってもらいます。七五三の写真も撮ってやれなかった希和子。薫と一緒の写真が欲しかったのだと思います。
そして薫はカメラに緊張して笑顔が出ません。
希和子は薫に、「お母さんはもういっぱい貰ったから、要らないから薫に全部あげる。」と幸せを全部あげてしまいます。(号泣ポイントその1)
その後、ぐずる薫を連れてフェリーに乗ろうと急ぎます。
しかしそこには捜査の手が・・・。
希和子は売店でパンを買い、警察に薫を渡す時薫を自分から離そうとします。
捕まるところは見せたくなかったのでしょう。
わざと離れさせ、大きな声で「その子はまだ朝ご飯を食べていません」と叫びます。(号泣ポイント2)
薫目線
ここから薫目線。というか、周りから見た時系列。
不倫相手は不倫当時から奥さんにばれていました。
奥さんは追い詰められ、希和子を罵倒しに行きます。
ドアを閉める希和子を阻止し、あんたは人殺し(中絶した)けど、私は妊娠してるのよ!最低!あんたは空っぽよ!みたいにヒステリックに怒鳴りだします。
思うんだけどなぜこの本妻は希和子だけを責めるのか?もちろん旦那にも責めてるとは思うけど、旦那がハッキリどっちつかずな返答ばかりしているから悪意が希和子に及ぶんだと思う。旦那が浮気した事実を何かのせいにしないとやり切れないんだと思うけど、一旦攻撃しだしてしまうと止められない上に自分も余計に辛くなるだけなのにな。浮気という事実を自分で消化しないがために大事件に発展するのに。
希和子は中絶したことだけでもショックなのに、医者にはもう妊娠しにくい(子宮が癒着している?)と言われ人生最大のショックを受けている頃でした。
後悔してもしきれない、でも自分「だけ」が悪いと思い込んでいる希和子。悪いのは男だけだけど、なぜこうやって自分だけが悪いと思い込んでしまうのか。
やがて本妻に子供が生まれて、思わず希和子は一目見て見たいと思い本妻の家を張っていると、本妻が生まれたばかりの赤ちゃんを置いて旦那を駅まで送りに行ったので希和子は家に入り込んでしまいます。
ここ突っ込見どころ沢山あるんだけど、当時はちょっと置いていくみたいなことが普通にあったんではないかな。
そして家に帰ると家が希和子の倒したストーブで火事。慌てて娘を探すが娘は居なくなっていた。
その後、本妻はマスコミも警察も利用して希和子を指名手配する。
一向に捕まらない希和子。
その間もヒステリックに旦那を責めるだけの本妻。(もう別れたらいいのに)
そしてある日希和子と娘が新聞に載り、娘が返ってくる。
マスコミの前にさらされた娘は、その場でおしっこをしてしまう。(本妻は馬鹿にしていると感じてしまう)
その後も娘を育てるが、〇〇の歌唄って。と言われても違う歌になってしまい、どうしても子育てがうまくいかない。うまくいかないことを希和子と旦那のせいにする本妻。
そして裁判で希和子は「育てさせてもらった本妻夫婦には感謝している」と言います。
その後も本妻のヒステリックは続き(もう別れたらいいのに)大学生になった薫はたまらず一人暮らしをしています。そこに薫の不倫相手(劇団ひとり)が来て逢瀬するものの薫も不倫相手の子供を妊娠してしまします。
その頃、エンジェルホームで一緒に暮らしていた千草(小池栄子)が薫を訪ねてやって来ます。
千草はライターをしているらしく、薫の事件を追っていました。
千草も何もかもうまくいかないらしく、エンジェルホームがいかに異様な宗教施設だったことを彷彿させるような千草の生活習慣、というかしつけ?
薫と一緒に焼きそばを食べるのですが、箸の持ち方も食べ方も異様。これでは周りにドン引きされるわ・・・。宗教施設とか親とかの問題じゃないだろう。この小池栄子は個人的に絶賛です。
そして千草から、希和子が出所していて薫と辿った通りに移住して行っていることを知ります。希和子は薫に会いにきていませんでした。
薫は母から「あの女だけが悪い」と執念のように言われていたのですが、あの女の事がうまく思いだせなかったのでした。
そもそもあの本妻の母親しか知らないので、母性が出てこないので自分の妊娠も不安でしかなかったのでした。
そして千草と幼少時代の薫と辿ることで希和子との日々を思い出していきます。
薫は不倫相手と別れ、両親に不倫相手の子を妊娠し、産むことにすることを話します。ヒステリックに罵倒する本妻(母親)、それでも薫の意志はぶれません。
千草はエンジェルホームの時のように一緒に育てようと言ってくれています。
そして千草は最後に過ごした小豆島に一緒に行こう。と言います。
あまり覚えてない薫は、母と一緒に撮った写真館を見つけて入ります。
そこで写真館のおじいさんが、あの時の写真を持ってきて薫に渡します。
それを見て、あの時の「薫にお母さんの幸せ全部あげる」と言われたこと。
希和子が逮捕されるときに、自分の朝食の心配をしていたことを思いだして一気に愛された記憶が呼び戻されます。(号泣ポイント3)
そこで映画は終わりますが、小説は最後に希和子が岡山から小豆島に渡るフェリー乗り場に毎日居ました。なので薫とすれ違っていますが気が付いていません。
この写真館の部分は映画だけで小説にはないです。
希和子は毎日、一目でもいいから薫を見たい。と今の今まで思い続けているのでした。
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何度も読んで、何度も映画見てかなり号泣したけど「全員自分の事しか考えてないな」と今思った。
本妻夫婦はもちろん、希和子も自分のしたことを棚の上にあげてるよな。
まあでも一番悪いのは「男」であり、希和子が逃亡するにあたって「男」に助けられたことがないのもその部分を象徴してる話だと思う。
それでも号泣してしまう度マックス! ★★★★★
酸欠で頭痛するくらい泣けるわ。
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