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落日 (湊かなえ)の小説のネタバレと感想

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皆大好き湊かなえ(賛否両論有)の落日を一気読みしました。

実は、めくってすぐ置き本していたもので、何を思ったか読みだして一気に読んでしまいました。

結論から言えば、伏線をきれいに回収しておりとてもすがすがしい【最後】でした!

途中の嫌な気持ちになる事も含め、私は好きな話です。

東雲を使う人はよくいるけど、落日って私は椎名林檎の曲名でしか聞いたこと無い。

落日の3行あらすじとネタバレ

注意※結末まで書いてます。

子どもの頃虐待されていた監督。同じく虐待されていた隣の子とベランダの避難壁ごし触れ合う。父は自殺し母は精神的に病み、大きくなって映画監督になった。同じ町出身の脚本家とタッグを組んで映画を作ることになる。脚本家もまた姉を自殺で失くしており母も病んで亡くなった。隣の子は家族を皆殺しにした事件の映画を撮ろうとするが、監督の父も脚本家の姉も『事故』で亡くなっていたことが解る。

そんなお話。

落日 のあらすじとネタバレ

毎日のように虐待されていた監督。

後から出てくる脚本家の従妹が相当に賢い子(のちの医者)だったので、その子とよく比べられており、「10年先のカレンダーを暗記していない」幼稚園なのに「掛け算ができない」などの勘違い母の早期教育の弊害で、理不尽に母に虐待されていました。

虐待方法は、夏も冬も夜にベランダに締め出されるという事。

泣くとまたヒスを起こすので、黙って耐える監督。ふと避難壁の向こうにも子供が居ることがわかり、指で文字を書き心を通わせていました。

母は父に怒っており、その怒りが子供に来ていたのだけれどそんなことはわかるはずもない子供時代。

突然、父が自殺か事故なのか分からない形で海で死亡してしまい、監督と母は母の実家に帰る。

閉塞感たっぷりの、こんなところで一生を過ごすのは無理だ、二度と帰らないと言っていた実家に帰った事と、父が自殺したことで母は気が狂いだす。

そして監督は、以前からオファーのあった父の実家で暮す事になりました。

父の実家はめっちゃ育ちのいいご家庭です。

以前から母の事を気に食わなかった父の実家は監督をそれはそれは大切に扱ってくれます。

父の実家は品が良いので、母の悪口は言わないが母の方はかなりのコンプレックスを抱いていた模様。その結果があの虐待に繋がるのでしょう。

祖母の通った女子中学(品のいい)を受験したらと言われたが、監督は父の見た景色を辿りたいといい祖母、号泣。父(息子)と重ねたらダメだと思っていたけど重ねて見てもいいのね!重ねている姿を見られるのね!と。

そこで、中学に通いながら塾に通うが学校と塾が同じ男の子が相当にいじめられていて、中途半端な正義感からかまっていたのに自殺してしまう。

自殺の前日に「一緒に映画を見に行ってくれ」と言われ、キスされてしまったので監督は思わずいじめられっ子を突き飛ばしてしまった。

しかもいじめられっ子は遺書に監督の名前しか書いてなかったらしい。

そしてもやもやと高校に通う監督。その頃同じ町の事件で引きこもりの兄が妹と両親を殺してしまう事件がありました。しかしその頃の監督はあまり接点が無いように思っておりスルー。

時は流れて、世界的に有名な映画監督となった監督は、ひょんなことからこの事件の子が自分が虐待されていた時にあの避難壁ごしにいた子ではないかと思い立ち、映画にしたいという欲望が出てくる。

同じく、同じ町出身の芽の出ない脚本家に声をかけ、調べていく。

脚本家の姉は将来有望なピアニストであったが、自殺か事故か分からない死に方で死んでおり脚本家の母も病んでいた。

脚本家はひさびさに自分の街に帰り父と会い、映画の話を映画マニアの喫茶店でしていると、どうも姉には彼氏らしき人が居たという事に気が付いた。

その後も、もっと調べて行くと、監督の父もその喫茶店の常連だったことが解り、監督の父は自殺ではなく『素晴らしい夕日を危ない所にひとりで見に行った』事による事故だと判明。

監督にキスした子も、監督の名前しか書いてなかったわけでなく、自殺した子の姉が母の事を思って咄嗟に隠していたことが判明!

そして脚本家の姉は、自殺ではなく一家殺人の問題の人である妹に誘導された事故であったことが判明。妹は村じゃ有名なほら吹きでした。パーソナリティ障害ってこういうのを言うの?

脚本家の姉は、一家殺人の兄と付き合っており兄はまた妹のパーソナリティ障害に振り回されており、おまけに脚本家の姉を誘導して殺した事が判明した事から思わず自分の妹を殺してしまう。妹の味方ばかりする親も殺したという訳でした。

長年自殺だと思い込んでいた監督と脚本家の二人は、それぞれの大切な人が『事故』だったことが判明する。

そして最後は、肩の荷が下りたような爽快感で、おしまい!

湊かなえにしては、伏線全部回収したすっきりとした、そして救いのある話でした。

みんな言うけど、落日は一気読みしてしまう。ってのは本当ですね。

ざっくりとしかあらすじ書いてないけど、この犯人の妹ってのが本当に癖が悪い。

もっと言えば、親の方が癖が悪い。愛玩子と搾取子の典型的と言った感じで、愛玩子のなれの果てはこうなるんだという事を見せつけている。

思うんだけど、近しい人が自殺か事故か分からない死に方して、自殺の原因みたいなのを周りに断定されたりしたら、解明できるまで引っかかるよね。

死人に口なしだから解明できることの方が少ないんだけど。

人の死は周りの人をいつまでも悲しませてしまうものです。

私はとても面白かった!

湊かなえの本:「母性」湊かなえの小説のネタバレと感想

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