当サイトの記事はアフィリエイト広告を利用しています。
角田光代の小説、紙の月の映画バージョンで宮沢りえの方のネタバレです。
ドラマバージョンはNHKで五回放送された原田知世主演のものです。
紙の月の3行あらすじとネタバレ
注意※三行で結末まで書いてます。
こう書くとサラっとした話だけど、どういう人が何かにのめり込んでしまうのかというリサーチを徹底的にしているので見てみる&読んでみることをおすすめしたい。
紙の月の映画のネタバレと感想
とりあえず、主人公梨花のモットーは厳しいカトリック女子高と厳しい両親の間で育った「与えられるよりも与えるべき」という精神が染みついている女性。
厳しく、間違ったことは絶対に許せない、そして自分は神のもとで幸せなので人々に与えるべき存在なのだと。ニュートラルは許されない、新しいことも許されない、グレーゾーンも決して許されない、なんの経験も人生の幅も遊びもないまま成長した女性だ。
ということを頭に入れて読み進めて欲しい。
そんな梨花は結婚してエリートの旦那と子供ができないまま専業主婦で暮らしています。旦那は梨花に全く興味がなく、旦那の会社での評価をあげるだけのために梨花を利用している(結婚して既婚というステータスを得るために)感じです。
今でこそ、そういうのもないけどバブル直後はまだそういう結婚してないと会社で上に上がれないという風習がありました。
梨花からすれば世話を焼いてもまったく無関心なので物足りません。人に感謝されることが一番の幸せと信じ切っているのに感謝も何も、人としての感情すら見せてもらえませんでした。
何の変化も楽しみもない毎日から抜け出したくて、梨花は銀行の契約社員として働き始めました。
真面目な梨花は銀行では重宝され、次第に上司からも信用を得て、昇給していきます。梨花は旦那にお揃いの腕時計をプレゼントしますが夫からは「もっといい時計買ってやるよ!」的なことを言われます。せっかく企画して提案して実行したのに、善意を踏みつぶされたような不快感が漂います。
実は梨花はカトリック女子高に通っていた時に、「もっともっともっと誰かにしてあげたい」気持ちが抑えきれなくなってしまい、父親の財布からお金を抜いてしまって募金した過去がありました。それくらい、誰かに何かをしてあげることで喜びを感じるというよりは、感謝されることでしか自分の存在を感じられないのでした。
その時の募金の相手は左のほっぺに傷のある外国の子供で、感謝の気持ちが綴られた手紙が送られてきていました。
梨花は人に何かをして「感謝」という見返りを欲していたのです。なのでカトリックの教えに反しているでしょう。自分にとって都合のいい解釈をしてそこから何も考えていないのです。ただ、感謝という見返りが欲しいのです。歪んだ教育を受けてそのまま受け止めているのです。
普通なら世間とか表向きとかうまく世間を渡っていくための「遊び」や「スルー」などを学んでいくのですが、梨花は真正面に受け止め、真正面に与え、真正面に見返りだけを求めます。人間味がないというか、「ああ、親の事や先生のことはよく聞いていたんだね。」でもそれだけだね。という感じの人。害はないけとあんまり親しくもなりたくない。というか「人としての面白みがない」。頭の何かが欠落しているような、自分では人生を楽しめない感じの人種。
そして梨花は旦那からカルティエの高級時計を贈られます。
「私のことも金で気持ちを無かったことにするんだ。」梨花はそう思わずにいられませんでした。
その頃、梨花は大口の顧客も任されており、ジジイの家に行った時にセクハラされてしまいます。
偶然そこに居た孫の光太に助けられ、二人は付き合うようになってしまいました。梨花にすれば隙だらけ、孫にすれば年上の既婚者をゲットする俺、カッコいい!的なノリでしょう。
しかしそれからの梨花は毎日が楽しくなり、メイクひとつも全然違って楽しく感じられるようになりました。まあ生活に張りが出たってやつですね。
ある日、外回りの帰りにデパートに寄った時お金が足りずに集金の袋から払ってしまいます。「後で返せばいっか。」そんな軽い気持ちでした。
そして光太に借金があることがわかり、光太のおじいさんの定期を梨花が勝手に解約し横領して光太に渡してしまいました。
光太は梨花が「金持ちなんだ」と錯覚しました。
その頃、梨花の夫が海外赴任になります。なんだかんだと梨花は付いて行かず、光太とやりたい放題します。光太と会うために豪華なマンションを借りてやり、豪華な食事を出し豪華な酒を飲みます。
梨花は横領の額も大きくなりだし、顧客を騙すためにパソコンとプリンターを使って銀行の金利を大きく見せて顧客を取得し、自分の財布に入れだします。
しかしある日、そのマンションに光太が彼女を連れ込んでいました。発見した梨花はたまらず光太と別れてしまいます。
その頃光太はどうしようもない男になっていました。大学は勝手にやめて、今からはパソコンだ!と言って梨花にパソコンを買わせて梨花が横領した金をまるで自分の金のように使っていました。
銀行では梨花の不正を発見します。何と金額一億以上。
追い詰められた梨花は、同じような真面目一徹な上司にあなたも来る?と言いながら一人でガラスを破ってビルから飛び降りて逃げ出します。
真面目一徹な上司も、行くなら今しかないか!?と思いつつも行動できませんでした。そして上司もまたブレない人生に悩んでいるけど、勇気がないのでした。
梨花は初めて「自分から行動した」のです。今までは流されるだけでしたが、自分の意志ができあがったのです。(反抗期が無かったのかも知れません)
その後、東南アジアで思うままに生きて幸せそうな梨花が、青年からリンゴを貰い受け取りますが、その青年はかつて梨花が寄付したあの少年でした。
おしまい!
自分の意志で生きた方が幸せだと思うでしょ?
でも当時は「自分の意志」なんてない子が沢山いたのよ。
今の教育は「個性」を尊重してくれるけど、昔の教育は「個性」を徹底して叩き潰すのが正しいと思い込まれていたから、無感情な何も考えない人が量産されてきたわけで、今でも化石みたいに人の意見も聞かずに自分が「正しい」と思ったことを一方的に押し付けてくる無神経な上司とかオバサンとかいるでしょ?
考え方すら変えられない位の個性を潰した教育の徹底だったのでしょう!
よく似た記事:夢売るふたりの映画のネタバレと感想